中古マンションの築年数の限界
今回は、中古マンション築年数の限界について解説していきたいと思います。
現在、不動産価格の高騰によって新築マンションはかなり高くなっています。実際に物件を探されている方の中にも、初めは新築を探していたけど、より求めやすい中古マンションを検討している方は非常に多いと思います。
また、新築マンション自体の供給も減っており、特に好立地は開発し尽くされ供給少ないため、今後ますます中古マンションを選択する方は増えていくと思います。
しかし、中古マンションと言っても築何年までであれば安心なのでしょうか。
それはマンションの管理状態によって大きく変わってきます。
そこで今回は、中古マンションの築年数の寿命について、3つの見分けるポイントについて解説していきたいと思います。
①鉄筋コンクリートの寿命
まず最初に考えられるポイントとして、マンションを支える「鉄筋コンクリートの寿命」についてです。長い年月を重ねると鉄筋コンクリートも劣化していきます。鉄筋コンクリートはマンションを支えている構造の部分になるため、いわゆる柱や床、壁などが鉄筋コンクリート造ということになります。
このマンションの柱や床、壁は建物の構造上に重要な役割を担っているため、この部分が劣化してしまうと、マンションとしての強度が弱くなってしまいます。そしてそれが、価値が落ちるということに繋がっていきます。そこで、この鉄筋コンクリートの寿命を計る上で1つの目安となってくるのは、「税務上の法定耐用年数」になります。この法定耐用年数は、税金の計算のために使われる指標となっており、年数が経つごとに少しずつ価値が落ちていき、年数が全て経過した時に税務上の資産価値が0になるというものです。この法定耐用年数では、鉄筋コンクリート構造は47年となっているため、新築後47年間で建物の価値は0になるという計算になってしまいます。しかし、この法定耐用年数と実際に建物が使用できる年数は異なります。新築後47年経つと税務上の資産価値は0になるかもしれませんが、実際建物が普通に使えるのであれば、0円ということはありません。
鉄筋コンクリートの状態によっては、法定耐用年数の47年を超えても資産価値を保つことは可能です。ではそもそも、鉄筋コンクリートとはどういう仕組みなのでしょうか。少し触れると、鉄筋コンクリートの「鉄筋」ではなく「コンクリート」の部分は、押される力に対してはすごく強いため、潰れにくいのです。しかし、コンクリートだけだと、引っ張られる力に対しては弱いため、剥がれてしまいます。
それに対し、「鉄筋」つまり鉄の棒は、押される力に対しては弱いのですが、引っ張られる力に対しては、強いのです。そのため、鉄筋コンクリートは、「コンクリート」と「鉄筋」がお互いの強みを生かし、弱みを補完し合っている構造なのです。しかし、「鉄筋」は鉄でできているため、錆びることもあり脆くなります。
そして中の鉄筋が錆びてしまうと、膨張してコンクリートにヒビ割れが生じ、そこに水が侵入してより劣化が進行するようになってしまいます。
この悪循環が鉄筋コンクリートの寿命にとって大きなポイントになります。
日本建築学会が公表しているデータによると、鉄筋コンクリートの標準的な寿命は65年とされています。つまり、マンションは何も手入れをしないと、60年ほどで何かしらの影響が出てくるであろうというようなイメージです。
しかし、外壁をマメに塗装し直したり、ひび割れをきちんと補修するなどの細かいメンテナンスや大規模修繕工事を計画的に実施していくことで、100年間利用できることにつながります。
②配管の寿命
2つ目のポイントは「配管の寿命」です。配管の寿命が尽きてしまうと、 トイレやお風呂の排水が悪くなるなど、快適に過ごせなくなってしまいます。専門的に言うとマンションの配管にはいくつか種類があり、寿命が短いものもあれば長いものもあります。
寿命が短い順に上げると、
・「銅管」 水道用の亜鉛メッキ銅管など
・ 「硬質塩化ビニルライニング鋼管」 いわゆる塩ビ管
・「高性能のポリエチレン管」や「ステンレス管」
まず、1つめの水道用の亜鉛メッキ銅管は、寿命が10年から15年と短く、錆びやすい素材です。1970年代よりも前に建てられたマンションはほとんどが銅管であるため、銅管のままかどうかは確認が必要です。
そして、次の塩ビ管の寿命は30年から40年と銅管に比べると長いですが、全くメンテナンスが必要ないというわけではありません。適切な修繕を実施することで、30年から40年は使用を続けることが可能と言われています。
最後に、1番耐久性が高いとされているのが、高性能のポリエチレン管やステンレス管です。これらの配管、半永久的に持つのではないかと言われているため、マンションの資産価値が高められるということになります。
③マンションの管理状態による寿命
最後に、「マンションの管理状態による寿命」があります。これまで解説してきたように、コンクリートや配管を適切に維持管理することで、マンションは65年から100年、長い期間にわたって使用を続けることができます。
しかし、適正に管理をしていかなければならないため、そのマンションの管理状況について購入前に確認するということが必要不可欠になります。マンションの管理状況を考える上で重要なポイントとして挙げられるのが、
・長期修繕計画があるか
・十分な修繕積立金が集められているかどうか
以上の2点です。
まず、長期修繕計画について説明していきます。マンションの管理には長期修繕計画を作成することが重要です。長期修繕計画とは、建物の資産価値を大きく左右する鉄筋コンクリートや配管のメンテナンス工事を実施するためにどのくらいの修繕積立金を積み立てていくのかという計画書になります。長期修繕計画がしっかり作り込まれている物件であれば、購入者としても20年後や30年後まで資産価値が保てる物件だと安心して購入することができます。
そして次に、前述した長期修繕計画の元手となる修繕積立金です。修繕積立金をきちんと集められていないと修繕計画も実行されないということになります。
国交省の修繕積立金・長期修繕計画のガイドラインによると、適正な修繕積立金の毎月の積立額は1,000円、面積1平米あたり200円とされています。70平米のマンションであれば毎月1万4,000円、 50平米であれば毎月1万円というのが修繕積立金の適正な目安となります。
しかし、この金額がきちんと集められてるから安心だということではなく、この金額を新築当時から積み立てられていないと足りなくなるということです。修繕積立金が積み立てできていないマンションを購入してしまうと、将来の大規模修繕工事の際にお金が足りず、1世帯あたり一時金100万円徴収や、本来は10年に一度やらなければいけないものをお金が足りないので15年に1回にしましょうとなどという事態になりかねません。
資産価値の高い中古マンションを選ぶポイント
実際に中古マンションを購入するにあたり、資産価値が高い中古マンションの選び方のポイントは次の3点です。
・外壁の状態をチェック
外壁面を見てひびが入っていたり塗装が剥げていたりするマンションはおすすめしません。そこから水が侵入して鉄筋が錆び、コンクリートが劣化する可能性があるからです。そして、ヒビ入っていてもそこをきちんと塗装し直し補修していれば水の侵入防げているため、そのような場合は大丈夫かと思います。ヒビが入っているか、放置されていないかどうかを確認してください。
・配管はメーターボックスを確認する
マンションの玄関脇にガスメーターや電気メーターが入っている部分あります。そこを開けると配管が露出していることが多いので、 そこで銅管なのかステンレス管なのかを確認できることが多いです。
・重要事項調査報告書、修繕履歴、長期修繕計画を確認する
一般の方がこれらの書類を直接管理会社に取り寄せることは難しいため、不動産業者に依頼して取り寄せてもらいましょう。また、見慣れない書類は読んでも分からないことが多いと思いますので、不動産会社に相談するようにしましょう。