離婚時の不動産売却の方法を解説!
不動産売却の理由には「住み替え」や「相続」など様々なケースがありますが、離婚での不動産売却は全体の約10%と高い割合を占めています。
離婚の際、子供の親権や慰謝料同様に不動産の財産分与は揉めるケースが多い事項のひとつです。例えば、夫は売却したいが妻は住み続けたいと希望している場合等です。
ここでは、離婚するとき家はどうするのがいいのか?財産分与の方法について解説します。
離婚するときは夫婦で財産分与をすることになります。夫婦が結婚している間に築き上げた財産は共有財産になるので、結婚してから購入したマイホームは家の名義に関わらず2分の1ずつ分け合うことが原則となります。この時、夫の名義で住宅ローンを組んで家を購入していても財産分与は半分ずつになります。ですが、不動産は現金のように単純に半分に分けることができないため、家を売却してその売却したお金を半分ずつに分けるのが最も簡単に公平に分けることのできる方法です。
また、例に挙げたように、売却しないで夫婦のどちらかが住み続けたいという場合は、家の価値の2分の1に相当する現金を相手方に支払うことにより一方の家とすることができます。
例えば、今の家を売ると6,000万円だとしたら、相手に3,000万円の現金を支払うことで自分の物とすることができます。
離婚の財産分与で気を付けたいのは、住宅ローンが残っている家を分ける場合です。
よくあるのが夫は家を出て行って、妻と子供がそのまま住み続けたいと希望するケースです。この場合、「離婚するから妻に名義を変更したい」と希望する方が多いですが、住宅ローンが残っていると基本的に名義変更はできません。名義変更するには住宅ローンを全額返済する必要があります。
例えば、夫名義の住宅ローンが3,000万円残っている場合、妻の銀行から3,000万円の住宅ローンを借り入れたら、夫名義の住宅ローンを一括返済して夫名義から妻へ名義変更できますが現実的ではありません。
では住宅ローンが残っている家の財産分与はどうするのでしょうか?
住宅ローンが残ったままの家を財産分与をする具体的な方法としては以下の4つがあります。
①夫から妻へ贈与する
夫が家を出て妻がそのまま住み続ける場合に、夫から妻へ贈与する方法があります。但し、住宅ローンが残っているので住宅ローンもセットで贈与する「負担付贈与」となります。
夫婦間で負担付贈与にすることが決まったら、借入れしている銀行の承認を得る必要があります。通常、妻が住宅ローンを借りる場合、それなりの年収が必要になりますが、この方法では夫から貰う養育費を収入扱いとできるので、妻が専業主婦やパートでも住宅ローンを組める場合があります。もし、妻が住宅ローンの返済が出来なくなったとしても、夫に返済義務はありません。但し、銀行によってはこの方法を認めていない場合もあるので、まずは借入れしている銀行に問い合わせをしてください。
②夫婦間売買をする
①の負担付贈与を銀行が承認しない場合は、夫から妻が家を買う夫婦間売買を検討することになります。この場合は銀行から妻の名義で住宅ローンが借りられるかどうかがポイントになります。もし審査が通らなかった場合は、他の銀行でも審査を受けて下さい。
流れを簡単に説明すると、
売買契約を結ぶ⇒妻が住宅ローンで夫に支払う⇒夫は妻から受け取ったお金で自身の残債を完済⇒夫から妻に名義を変更する
夫婦間の売買だからといって、相場より極端に安い額で売買すると、低額譲渡とみなされ、妻が税務署から贈与税を課税される可能性があるので注意が必要です。
③ローン完済後に名義変更する
①の負担付贈与や②の夫婦間売買を引き受けてくれる銀行は少ないです。
どちらもできない場合、現状維持で夫が住宅ローンを支払い、将来完済したら妻に名義を移して財産分与を行うという方法があります。但し、住宅ローンの完済まで何十年もかかること、その間に夫がローンの返済が困難になったらどうしようという心配や、もし途中でローンの返済が滞ってしまうと残金の一括返済を求められ、支払えない場合は家を競売にかけられて売られてしまうというリスクがあります。
④売却して分ける
①~③のどれも難しい場合は、家を売却したお金で住宅ローンを一括返済し、残ったお金を夫婦で分けることにります。
家に住み続けることはできませんが、現金化してしまえば1円単位で公平に分けることができます。住宅ローンの返済が負担で、離婚後一人で支払いするのが厳しいという場合は売却して一括返済することをおすすめします。また、夫婦で家をどうするか折り合いがつかない場合も、家を売却して公平に財産分与することが揉め事を残さない良い方法かと思います。