コラム

家を売却してもお金が手元に残らない?!売却に必要な費用を抑えるテクニック

リサイクルショップなどで物を売ればその全額が手元に残りますが、不動産売却はそうではありません。
なぜなら、不動産売却には「売却費用」が必要だからです。

この「売却費用」を抑えるための知識がないと、想定外の出費で損をしてしまうことになります。

そこで今回は、これから家を売却する人が損をしないよう、「不動産売却」に必要な費用と、費用を最小限に抑えるためのテクニックについて解説します。

1,家の売却価格=手元に残るお金ではない

冒頭でも述べたように、家の売却価格と手元に残るお金はイコールではありません。最悪の場合、マイナスになる可能性もあります。それは、家を売却する際に、仲介手数料や税金の他に、建物の解体費用や測量費用など、必要に応じて発生する様々な費用を支払わなければならないからです。
特に高額になりがちな建物解体費用や、ローン返済金額のことを念頭に入れておかないと、手元に残るお金がびっくりするほど減ってしまいます。事前に必要な費用をしっかりと把握しておくことが重要です。
では、その必要な費用についてひとつずつ解説します。

2,家を売るときに必要な費用
①契約書印紙代
不動産売買契約書や工事請負契約書などを作成する場合、金額に応じて収入印紙を貼り印紙税を支払う必要があります。
ただし、2025年3月31日までに契約書を作成した場合は、印紙税の軽減措置を受けることができます。例えば、売却価格が1,000万円以上5,000万円以下の物件であれば、通常印紙税は2万円ですが、半額の1万円になります。また、PDF等の電子データで取引をすれば、印紙税自体が無料になります。

②仲介手数料
家を売る際に不動産会社に仲介に入ってもらう場合は、仲介手数料が必要になります。仲介手数料の上限は、売却価格によって宅地建物取引業法で定められており、原則として仲介手数料以外の費用を請求することは禁止されているため、ぼったくたれるという心配はあまりありません。しかし、不動産会社によっては宣伝代など名目を変えて請求してくる場合があるので請求内容をよく確認するようにしましょう。

③測量費用
土地の測量費用も見過ごされがちですが大事な費用です。
土地の境界を明確にする確定測量がなされておらず、境界線が不明なまま土地を利用していると、隣接地の所有分のエリアを侵害してしまい、トラブルに発展することもあります。土地の価格が高かったり、測量を行っていない土地は確定測量を行うことをお勧めします。

④建物解体費用
家を更地として売るのであれば、建物の解体費用も忘れてはいけません。解体費用の目安は30坪の木造住宅で約90万円~150万円です。また、同じ大きさでも鉄骨造の場合は約150万円~210万円と高くなる傾向にあります。
解体費用が高すぎる場合は、古家付き土地として家を解体せずに売り出す方法もあります。

⑤抵当権抹消費用、住居変更登記費用
売却のタイミングでローンを完済する場合は、抵当権抹消の手続きが必要です。抹消の際には、不動産1つにつき1,000円の登録免許税を支払わなければいけません。さらに、司法書士に依頼する場合は、15,000円の司法書士手数料も別途かかってきます。自分で手続きをすることも可能ですが、売却のタイミングでローンを完済するとなると手続きが複雑になる為、無理せず司法書士に依頼する方が安心です。
また、不動産登記の住所変更も不動産1つにつき1,000円の登録免許税が必要になります。この手続きはそこまで複雑ではないため、自分でやった方が費用を節約できます。

⑥繰り上げ返済手数料
売却のために残っているローンを一括繰り上げ返済する場合、手数料がかかることがあります。ローンを組んでいる会社によって金額が変わりますが、ネットで手続きを行えば手数料が無料になる会社もあります。これらを知らずに窓口で手続きすると、手数料が5,000円~10,000円程度とられることもありますので注意しましょう。「ローンを組んでいる会社名 繰り上げ返済 手数料」などで検索をして、あらかじめ窓口と手数料に違いはないか調べておくことをおすすめします。

⑦ローン返済金額
基本的に住宅ローンが残っている家は住宅ローンを完済して抵当権を消さなければ売却することができません。そのため、ローンが残っている状態で家を売りたいのであれば、まずはローンの完済が可能かどうか、残債を確認してみてください。
また、売却価格よりもローン残債の方が多いいわゆる「オーバーローン」の場合、不足分を預金で補うのか、住み替えローンを利用するのかなど対策を考える必要があります。

⑧引っ越し費用
売却予定の家にまだ住んでいるのであれば、引っ越し費用も必要です。
引っ越し費用も季節によって値段が大きく変更するので、時期を選べるのであれば12月から1月、6月などの閑散期がおすすめです。逆に、3月は引っ越し費用が最も高くなる時期なので避けた方が無難です。

⑨譲渡所得税
家を売却する際の費用の中で最も大きな影響を及ぼすものが譲渡所得税です。自己居住用の家を売る際に、購入時の金額より高く売れた場合、利益に対して20.315%から39.63%の税金がかかります。
一般的に建物は劣化していくので、建物の価値が購入時より上がることは少ないですが、長年住んでいるうちに地価が高騰していたというケースは十分考えられます。

3,売却前に必要なものは「適切な準備」と「情報収集」
適切な準備と情報収集が手元に残るお金を増やし、納得のいく売却を実現する鍵となります。想定外の費用に驚かないためにも、測量費用、建物解体費用、譲渡所得税など、ご自身の不動産売却でかかる費用を事前に把握し準備を整えておくことが重要です。

不動産の売却にかかる費用については多くの人が直面する問題です。不動産売却の失敗は、数十万円ではなく数百万円の損失に繋がる可能性があります。売却までの具体的な計画を立て、必要な費用をあらかじめ予測しておくことで、納得のいく売却を実現することができます。