コラム

不動産売買における越境とは

不動産売買において、越境や境界のトラブルが出てくるケースがあります。越境とは、境界と境界を結んだ境界線に隣から木の枝等が伸びてきたり、建物やブロック塀がはみ出ていることをいいます。では、どのようにすれば越境によるトラブルを防げるのでしょうか。一番の方法は、不動産売買契約の際に境界の明示を取り決めることです。資格のある測量士が測量の際に境界を明示し、境界が無ければ隣地と取り決めることになるので、越境物を発見できたり、トラブルを未然に防ぐことができます。
では、どの様な物が越境物になるのか一つ一つ解説します。

①塀

ブロック塀やフェンスが目に見えてはみだしていることもあれば、下ははみだしていないけど上にあがるにつれて膨らみ、上の部分がはみ出していることもあります。しかし、移動や撤去が容易ではない為、将来、建て替えの際に越境物を敷地内に収めることで越境に関する覚書を互いに合意の上交わしておくことが一般的です。さらに、間知石(けんちいし)というお城のように組んでいる斜めの領域があります。この場合も上空は越境していなくても地下のギリギリのところに境界線がある場合もあるので、現地を見て越境の確認をすること大切です。

②植栽

枝葉が越境しているケースもよくあります。生活に支障がない場合はそのままにするケースもありますが、基本的には切ることになります。

越境している枝について、所有者に対して剪定の請求はできますが、所有者の承諾なしに勝手に切ることはできません。これは民法上で決められていることなので、必ず所有者の承諾を取る必要があります。ただ、枝の所有権は「植栽の所有者」にあるのに対し、「根」の所有権は「根がある敷地の所有者にある」とされており、根っこの部分は承諾なしに切ることはできます。しかし、隣地とは長くお付き合いすることになるので、声がけして切る方がいいでしょう。

③生活施設管

上空や地上は目視で確認できますが、地中に埋まった水道管、ガス管、排水管の越境は確認することができません。不動産会社が市役所やガス会社に問合せて調査しますが、分かるものと分からないものがあります。建築時の図面があれば敷地内のものは分かりますが、隣地のものは分かりません。不自然な配管があるかどうか、下水道が変な向きに向いていないか、水道のメーターを見てわかるケースもあるので、この辺りをよく見て、もし越境している部分がありそうな場合は水を流したり、隣地に聞いてみることも大事です。もし越境があれば、建築物に影響する場合があります。建築する際、この越境の部分を触ってしまう場合もあるので、隣地としっかりと打ち合わせが必要になります。

また、電話線や電線が上空で越境している場合もあります。この場合は、通信会社や各電気会社に連絡して動かしてもらえるのですが、これは結構時間がかかってしまいます。協議したうえで動かす位置、日程などを決めるため、引き渡しや着工までに間に合わないケースもあります。そのため、越境を発見したらすぐに移動の手続きを開始しましょう。

④建物の一部

基本的には撤去ですが、問題なければ越境に関する覚書を交わして、将来のために合意しておくことが大切です。新築の場合は、越境物がどうしても建築上にひっかかることや融資にも影響する場合があるので、この場合は越境している部分を解消することや隣地との打ち合わせ協議が必要になってきます。

購入される方にとっては越境物はやはり非常に大切なことです。隣地とうまくやっていくためにもこの辺りは最初につまずけないため、しっかりと境界標、境界明示をすることが大事です。