コラム

築30年を超える一戸建ての売却について

築30年を超える一戸建てを売却する際に、「売り出す前にリフォ-ムした方が良いでしょうか?」と聞かれることがあります。確かに古家付土地として売り出すよりも、リフォ-ムをしてすぐに暮らせる状態にした方が高く売れるんじゃないかと考える人もいるでしょう。実際に「リフォ-ムをした方が売却に有利です」とアドバイスをする不動産会社もあるかもしれません。しかし、お金をかけてリフォ-ムしただけ高く売れるという保証はないことを知っておく必要があります。

リフォ-ムが失敗に終わったケ-ス①

 築35年の一戸建てを売却しようと一括査定サイトを利用したAさん。複数社が提示した査定額が思ったよりも低かったことに少しがっかりしていました。訪問査定で「建物の価格は0に近いので古家付土地として売り出したほうがいい」とすすめられましたが、Aさんは自身が居住中だったのでまだ十分に                                                                                                                                                                      暮らせるだろうと思いキッチン周りをリフォームすることにしました。Aさんの家のキッチンはダイニングとガラスの引き戸で仕切られたは独立型のキッチンでした。システムキッチンの入替え、LDKの床とクロスの張替えと引戸の交換でリフォ-ムにかかった費用は約200万円。リフォームしたのだから売り出し価格に300万円程度の上乗せしても良いだろうと考えて売却価格を決めました。しかし、売却活動が始まると値下げ交渉の問い合わせばかり。子育て世代が生活するにはキッチン独立型の間取りが引っかかったようです。最終的にはリフォ-ムによって引き上げた分を値引きして売却する結果となり、買主は全面的にリノベーションをするとのことで200万円が丸々無駄な出費となってしまった。

リフォ-ムが失敗に終わったケース②

しました 築40年の木造住宅を親から相続したBさん。外観、内装共にかなり傷んでおり、不動産会社からは立地は良いけどこのままでは売れないだろうと言われ、勧められるまま外壁の塗り替えと屋根の葺き替えに加え耐震補強のリフォームを500万円かけて実施しました。場所が良いこともあり、約1か月で買い手がつきましたが、建物が古すぎて建築台帳記載事項証明書や建築確認概要書などの公的書類が無かった為、通常の住宅ローンの審査を通すことができず、結果的には売り出し価格から500万円の値引きをしてようやく売却できました。通常の住宅ローンが使えない場合、現金で購入するか金利の高いローンを使うしか方法がなくなる為です。このように古い家の場合は予想外の事態が起こることがあります。

現状では人が住めない家の場合

 築40年を越えた古い家=昭和56年以前に建築確認が受理されている住宅は旧耐震基準で建てられている為、耐震性に不安があると考えられます。その上そのままでは住めないような劣化具合であれば売却後に買主から契約不適合責任を問われる可能性が高くなります。素人判断でリフォ-ムや補強を行ったとしても売却後、建物に不具合が出ないと安心できるものではありません。

そのような物件は古家付土地として売却することをお勧めします。古家付土地とはメインは土地の売却で古い建物が付いているという状況です。土地探しをしている人にもリフォ-ムやリノベーションする予定で古家を探している人どちらにとっても狙い目となり売れやすいケースもあります。特に、土地の形や立地条件がいい場合にはこの方法がおすすめです。買い手に負担がかからないよう引渡し前に解体しますとの条件を加えておく、瑕疵担保保険を付けておくといった安全策もあります。先述したリフォ-ムと同様に「解体した方が高く売れるだろう」と考えたり不動産会社に「解体しないと売れませんよ」と言われたりして安易に解体すると大損をしてしまう可能性があります。

不動産会社に買取りをしてもらう方法は出来るだけ早く面倒ごとなく売却したい人におすすめの方法ですが不動産会社によって条件も価格もまちまちなので依頼先を決める場合には複数の会社に査定を依頼し一番条件の良い会社を選んでください。不動産会社が売主から買取をした後、クリーニングを施したりリフォ-ムをしたり解体したりして買主を探すことになるので買取額は売却相場の6~7割になることがほとんどです。2,000万円で売りに出されるような物件であれば買取額は1,200~1,400万円になるということです。メリットとしては不動産会社と買取契約が締結すれば古家もそのままで引渡せ、契約不適合責任もありません。早ければ決済まで1~2週間という短期間で終えることも可能です。ただし買取契約する際は何よりも売主に一番有利な条件で買取をしてくれる信頼できる不動産会社を探すことが大切です。

まとめ

古い家は一般的に法定耐用年数によって価値が判断されることが多く、木造住宅は築25年を越えると価値が0の古家として扱われることもあります。しかし定期的なメンテナンスやリフォ-ムを行って丁寧に暮らしている家はその限りではありません。築35年を越えても中古住宅として売却できることもあります。古い家を売却する際、不動産会社に査定してもらってリフォームや解体を勧められることもあると思います。リフォームをすれば見た目が良くなって売却しやすくなるかもしれませんが、費用をかけた分だけ高く売れるという保証はありません。初めにお話ししたように暮らす人たちが使いやすいように自由に手をかけたい、低価格な物件であればリフォームやリノベーションに費用をかけられると考えて物件を探している人も多いということは知っておいてください。