不動産の相続で損しないために知っておきたい「遺産分割」の4つの方法
親や親族が亡くなったとき、突然始まるのが「相続手続き」です。
特に不動産を相続する場合は、現金のように簡単に分けることができず、親族間でトラブルになるケースも少なくありません。
相続税の申告・納付には「相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内」という期限があります。この期限を過ぎると、相続税の優遇が受けられません。
今回は、不動産の相続をスムーズに進めるために知っておきたい「遺産分割の4つの方法」について解説します。
1.現物分割
財産をそのままの形で分ける方法
最もシンプルな方法が「現物分割」です。例えば、実家を長男が、預貯金を次男が、株式を長女がそれぞれ相続するケースです。お互いが納得していれば細かい評価額の調整は不要で、手続きも比較的簡単です。
ただし、相続財産が不動産だけの場合は注意が必要です。
家を誰か1人が相続すると、他の相続人の取り分がなくなるため、不公平感からトラブルに発展することもあります。
現物分割は、預金や現金など「分けやすい財産」がある場合に向いています。
2.代償分割
不動産を相続する代わりに、他の相続人へ金銭を支払う方法
同居していた長男が実家を引き継ぐ場合などに選ばれるのが「代償分割」です。不動産を受け取る代わりに、他の相続人へ”代償金”を支払ってバランスを取ります。
ただし、この方法では長男に代償金を支払う現金を用意できるかがポイントになります。また、不動産の価値は”時価”で計算するため、評価の仕方で揉めることもあります。代償分割を選ぶ場合は、遺産分割協議書にしっかり記載しておかないと、後から贈与税がかかるリスクもあります。専門家のサポートを受けながら、慎重に進めることが大切です。
3.換価分割
不動産を売却して現金で分ける方法
「誰も住まない」「維持管理が難しい」という場合は、不動産を売却して現金を分ける「換価分割」が適しています。売却代金を平等に分配できるため、最もトラブルが起きにくい分割方法です。
ただし、売却によってで利益が出た場合は、譲渡所得税が発生する点をご注意下さい。売却のタイミングや価格設定によって手取り額が変わるため、早めに不動産会社に相談するのがおすすめです。
4.共有分割
複数人で1つの不動産を共有名義にする方法
「とりあえず共有で」という形で選ばれることもある共有分割ですが、実はおすすめできません。
売却や賃貸などを行う際には、共有者全員の同意が必要になります。
また、次の世代の相続時に権利関係がさらに複雑になるため、後々トラブルになるケールが多い方法です。
スムーズな遺産分割のために
「相続は「早めの準備」と「専門家のサポート」が鍵となります。
遺産分割は、相続人それぞれの思いや事情が交錯しやすいデリケートな問題です。「住みたい人」「現金で受け取りたい人」など意見が分かれて話し合いが長引くこともあります。相続税の申告期限である10ヶ月以内に手続きが完了しないと、各種の優遇制度(小規模宅地の特例など)が受けられず、税負担が増えてしまうこともあります。話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所への調停を申し立てる方法もありますが、できるだけ早い段階で不動産会社や税理士などの専門家に相談しておくことが重要です。
まとめ
現物分割:そのまま分ける
代償分割:金銭で調整する
換価分割:売却して現金で分ける
共有分割:共有名義にする(おすすめしない)
それぞれにメリット・デメリットがあり、最適な方法はご家庭の状況によって異なります。
相続は誰にでも起こるもの。突然の事態に慌てないためにも、今から少しずつ準備を始めておきましょう。
※本記事は一般的な解説です。実際の相続や税金に関する判断は、税理士・司法書士など専門家へのご相談をおすすめします。