誰でもできる5つの土地の時価の調べ方
相続した土地を売却するか迷っている方や、所有している土地の活用に困っている方は、その土地の時価を知ることが売却する際に役立ちます。
まずは自分の土地について調べてみましょう。
今回は、その上で必要な知識について解説していきたいと思います。
① 5つの土地の時価
5つの時価の意味と利用目的
時価を利用する目的や調査を行う主体によって、公的な土地の価格は4つに分けられます。また、実際の不動産取引価格を合わせた5つを簡単にまとめたものが以下の表です。
価格名 | 概要 | 利用目的 |
基準地価 | 各都道府県が調査する土地価格の基準 | ・一般の土地取引価格の指標 ・公共事業用地の買収価格の算定 |
公示地価 | 国土交通省が発表している土地価格の基準 | ・一般の土地取引価格の指標 ・公共事業用地の取得価格算定の基準 |
相続税評価額 | 各都道府県が調査する土地価格の基準 | ・固定資産税や土地計画税の課税基準 ・不動産取得税や登録免許税の課税 |
固定資産税評価額 | 相続税や贈与税の基準になる | ・相続税や贈与税の算定基準 ・土地の相続税評価額を計算 |
実勢価格 | 実際に市場で売買された取引価格 | ・一般の土地取引価格の指標 |
この中でも、公示地価と基準時価は不動産売買を考える上でとても重要な項目です。
公示地価は都市部に標準値が偏る傾向があり、基準地価は公示時価を補完するためにも、まんべんなく調査地点があります。地価公示・地価調査とも、標準地・基準地は独自に選定されますが、両調査の均衡を保ち、持続性を持たせるために一部重複しています。調査地点が同じであれば半年間の地価上昇や下落の変化をつかめます。
基準地価・公示地価・相続税評価額・固定資産税評価額の違い
公的な4つの土地の地価の違いは、以下の表のとおりです。
主に違うのは、調査を行う主体と評価時期、調査対象です。
価格名 | 調査主体 | 評価時期 | 公表時期 | 調査対象 |
基準地価 | 都道府県 | 毎年7月1日 | 毎年9月下旬 | 基準地1平米あたりの価格 |
公示地価 | 国土交通省 | 毎年1月1日 | 毎年3月下旬 | 基準地1平米あたりの価格 |
相続税評価額 | 国税庁 | 毎年1月1日 | 毎年9月1日 | 道路に面する標準的な宅地 1平米あたりの価格 |
固定資産税評価額 | 市区町村 | 基準年の1月1日 (3年に1度改定) | 基準然の4月頃 | 土地と家屋は別で算出。家屋は 新築・増築後に役所の調査員が 建築設備の種類や数などを確認 |
②土地の時価の調べ方
次にそれぞれの時価を調べる方法を解説していきます。
1.基準地価の調べ方
国土交通省の標準地・基準地検索システムを使うと確認できます。
2.公示地価の調べ方
基準地価と同様、国土交通省の標準地・基準地検索システムで検索できます。
3.相続税評価額の調べ方
評価額の算出には「路線価方式」と「倍率方式」の2つの方法があります。一般的に国税庁が定める路線価(相続税路線価)を元に算出し、公示価格の約80%が目安です。国税庁サイト路線価図・評価倍率表で路線価を確認できます。
4.固定資産税評価額の3パターン別の調べ方
固定資産税評価額の調べ方は、既に取得している物件と、これから取得する物件とで異なります。さらに、これから取得する物件の場合は新築物件か中古物件かで異なります。
- 既に取得している物件の場合:固定資産税の課税明細書を確認する
毎年4~6月頃に送付される固定資産税の納付書をチェックするのがスムーズです。固定資産税の支払い書と一緒に「課税明細書」が封入されています。明細書のスタイルは各自治体により異なりますが、評価額や固定資産税評価額と記載されているので項目をチェックしておきましょう。
- 新築物件をこれから購入する場合:目安を確認する
固定資産税は、毎年1月1日にその物件や土地の所有権を登記している人に対して課税されるものです。そのため、新築物件をこれから購入する場合や、物件を購入して日が浅くまだ固定資産税納付書が届いていない場合には、固定資産税の計算に利用される固定資産税評価額の正確な数値は分かりません。新築物件の場合は、固定資産税評価額のおおよその目安を確認しておきましょう。新築の固定資産税評価額の目安は、土地の場合は公示地価の70%、建物の場合は新築工事費の50%~60%です。
- 中古住宅を購入する場合:不動産仲介会社に確認、縦覧制度を利用する
中古物件は新築物件と異なり固定資産税評価額は既に出ています。不動産仲介会社の担当者に固定資産税評価額を尋ねてみましょう。固定資産税評価額は固定資産税台帳に記載されていますが、閲覧できるのは固定資産税の納税者とその家族、あるいは委任を受けた者のみです。しかし、毎年4月1日から一定の期間(注意:終了日は自治体により異なる)に限り設けられている「縦覧制度」を利用すれば、自分が所有している土地や建物と比較する形で固定資産税評価額の確認が可能です。
5.実勢価格(不動産取引事例)の調べ方
国土交通省の土地総合情報システムの不動産取引価格情報検索では、過去に売買された土地の成約価格を閲覧できます。住所や路線・駅名から自分の土地に近い条件を設定すると取引価格や取引件数、物件情報などが確認できます。
③土地の時価に影響する3つの要因
土地の時価に影響する要因は次の3つがあります。それぞれ例をあげながら説明します。
・一般要因
・地域要因
・個別要因
1.一般要因:不動産価格の全体的な水準を左右する要因
一般的な要因とは、社会情勢の変化に伴って変動し、不動産価格の全体的な水準を左右します。たとえば以下のような要因があります。
・社会的要因:人口の増減や核家族化、生活様式の変化など
・自然的要因:都市部に近いかどうか、災害リスク、気候など
・行政的要因:土地利用・建物の計画や規制、防災等に関する規制など
・経済的要因:物価、増税・納税控除など
2.地域要因:その土地が属する地域の特性
地域要因とは、地方自治体の条例やインフラ設備、っチキの開発計画などその土地が属する地域の特性を指します。例えば以下のような要因があります。
・周辺の利便施設の充実度
・上下水道、ガス等の供給状態
・学区
・アクセスの良さ
地域の人気度や利便性が高いほど、その地域の不動産価格は上昇する傾向にあります。
3.個別要因:土地固有の条件
建物と同様に、土地にも個別性があります。個別要因とは、その土地固有の条件を指します。例えば以下のような要因があります。
・土地の権利関係、接道状況(角地、二方路地など)
・日当たり、高低差
・土地の広さや形(整形地、不整形地など)
一般的に、使い勝手の良い整形地や角地は高く評価され、不整形地や日当たりの悪い土地は低く評価される傾向にあります。
④土地の時価と売却価格がことなる理由
公示地価や基準地価などの評価額は公的機関が一定の基準で算出し公表されます。一方、売却価格は土地を売りたい人が自由に設定できます。市場の需要や売りたい人の戦略(早く売りたいのか、時間をかけても高く売りたいのかなどによる)で、売却価格は評価額から上下します。
⑤まとめ:まずは時価を把握しよう
土地の時価の種類や調べ方、時価に影響する要因について説明しました。
売却時期は決まっていなくても、売却する場合の相場感を把握しておくことが大切です。皆さんもまずは自分の土地の時価を調べてみましょう。